2011年10月25日火曜日

絞り


写真A=丸い絞りの白の部分に絵模様を刺繍で柄付けしてある小袖です。
写真B=左の人物は絞りの小袖を着用し、右の下級者は型染めの小袖を着用しています。

奈良時代には染の三纈(さんけち)という染法がありました。
その一つが纐纈(こうけち)という絞り染です。
江戸時代の元禄期に扇子の絵師であった宮崎友禅斎によって友禅染が考案されるまでは、高級小袖の絵柄工法は絞りと刺繍です。
室町時代には簡単な型染が行われていました。
現在NHKで「江」が放映されていますのでごらんを頂きたいとおもいます。
下級者の小袖は簡単な型染のものが着用されていますが、権力者が着用する小袖は絞りと刺繍です。

総絞りの着物の絞りは匹田(ひった)絞りといいます。
匹田には絹ものを絞った京鹿の子と有松、鳴海絞りに見られる綿絞りがあります。
絞り方は一緒です。布を細かく三角上に畳んで先を釣り針状の金に引っ掛けて防染用の糸を巻きつけます。物凄く細かい技術のいる仕事です。
今でも名古屋の鳴海、有松に行きますと仕事場が見学できます。
一反を絞るのに物凄い手間がかかります。それだけに大変高額なものになります。
江戸時代に主に若い者向けの高級小袖や振袖に絞りが使われていたのですが、奢侈禁止令によって使用が禁止されます。それ以降は匹田は主に型染ものになります。
絞りは第二時世界対戦時にも贅沢品として使用が禁止になっています。
戦後経済が復興して、絞りは華やかですから総絞りの振袖や小袖が着用されるようになりましたが、絞りは友禅ものと比較しますと、前時代の影響を受けて格式が下とされています。

この秋に宮中において園遊会がありました。なでしこジャパンの澤選手も招待を受けて出席をされていましたが、友禅の振袖を着用していました。そのように公の社交の場では絞りは華やかですが格式からいえば相応しくありませんので知っておいてください。

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