2011年11月3日木曜日

「江」の時代の肩衣袴に付いて


写真は「江」に出てくる男性の服装です。
武家の服装は室町期に整備され、江戸時代になりますと身分によって明確に服制が整備されます。
 大礼時には将軍はAの公家の衣冠束帯を着装する時もあります。
 二条城には大政奉還の模様が人形で展示されており,将軍は衣冠束帯を着装しています。
 将軍は公家の衣冠束帯を着装することはありますが、武家社会の大礼においては3位以上はBの直垂(したたれ)を着用します。4位は狩衣(かりぎぬ)です。5位(諸太夫しょたゆう)は大紋(だいもん)でお目見以上は布衣(ほい)お目見え以下は素襖(すおう)です・
 写真Bの背の所に絹の白い紐が付いています。それは袖の裏に各一か所づつ、胸に各一か所付けられています。
それを「きくとじ」といいます。
そして胸元には胸紐が付いています。直垂系統の服には「きくとじ」と胸紐が付けられているのが特徴です。
  素襖の写真があります。「きくとじ」の付けられている背、胸、袖裏、袴の投げの部分、袴の腰の部分に紋が付けられています。大紋は素襖と全く同じ形で紋が付いていることも同じです。
異なるのは「きくとじ」が大紋は絹の紐ですが、素襖は革が付けられています。
  袴の紐は大紋は白の別布が付けられていますが素襖は共布であるところが異なります。
 大紋、素襖には紋が付いています。江戸時代になりますと小袖にも紋が付けられるようになるのですが、その紋付のルーツは大紋です。
直垂系の直垂、大紋、素襖の袖は一幅半の大袖です。写真Dでは素襖の袖が邪魔に成って肩で括っています。
お袖が大きくて邪魔になりますのでそのお袖を取っ払って出来たのが肩衣袴だと言われています。
「江」の時代になりますと直垂は大礼服として用いられるようになり、通常公服は肩衣袴が着用されるようになります。

0 件のコメント:

コメントを投稿