2011年11月9日水曜日

芸者に見る衣替え

紋裾を来た京芸者 今日芸者独特の鬢を横に張らした結髪

芸者がお座敷に着て出る裾引きのきものを出の衣裳といいます。
その出の衣裳は次の様に衣替えします。
・1月~3月までは二枚襲(かさね) ・4月裾にふき綿の入った一枚袷
・5月は裾綿抜きの一枚袷 ・6月単衣か紗袷 ・7~8月絽縮緬
・9月単衣 ・10月裾のふき綿抜きの一枚袷 ・11月裾のふき綿入の一枚袷
・12月ふき綿入の二枚襲

以上が芸者の衣替えで、同じ袷や単でも春、秋。冬に着装する衣裳は季節の色柄に相応しいものを
着ますますので年間に着替える衣裳の数は大変なものです。


映画演劇などの衣裳会社は芸者や舞妓の衣裳を別染めで作るのは莫大な制作費が掛かりますので、私が入った頃は古着を買っていました。昔は貢いでくれる旦那衆が沢山いましたので、少し古くなると古着屋に回って来ていたのですが、今は時代が代わり旦那衆が少なくなりましたので、衣裳も古着屋に回ってくる頃は再利用出来る状態ではなくなりました。
そんなところにも時代が反映されています。

ところで現在では留袖の礼装しか下着は重ねなくなりました。
中振袖や訪問着には下着はついていません。昔は富裕層は普段着でも重ね着をしていましたので,どんな着物に下着を重ねても間違いではありません。
それが証拠に中振袖や訪問着を着装する時に重ね衿を付けます。
それは襟元を華美に装飾するためのものでなく、省略して襟だけを下着として重ねてきるのです。
その下着は上記のように、季節によって重ねたり重ねなかったりします。
例えば4月になって着る場合は、本当は重ね襟はしない方がいいのです。
そういうことをご存じでない方は華やかにしたいから、どうしても重ね襟を付けてほしいという人も少なくありません。
留袖も6月9月の単や秋袷、春袷の時期には下着は重ねない方がいいのですが、最近は殆ど比翼仕立になって、表着にくっ付けられていますのでそういう調節ができません。
比翼仕立てにすることが通常になってきているということは、きものの決まりに付いてご存じでない人が増えてきている証しです。

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