2012年10月22日月曜日

エッセイ「人生探訪」楽しみに付いて。その五

 何が一番楽しくて嬉しいことなのか。
そのことを考えますと、その一つは恋愛ではないでしょうか。
恋愛中は相手と一緒にいるだけで心が弾んで楽しいのです。お金なんか目じゃない。一つのパンを分けあっても何時も一緒にいるだけで楽しく幸せに感じます。
だから何時でも一緒にいられるように結婚をしたいと思うのです。
そんなに熱く燃えていた愛がいざ結婚をして、5~6年もしますと、別に嫌いになったということではないのですが、一緒にいるだけでときめくということは無くなります。
 五十路も近くなって、私は未だ嘗て連れ合いと一緒にいることが一番楽しいと言う人に出会ったことがありません。男女の関係は当初はどんなに愛し合っていても、時が経てば誰もが必ず冷めてしまうのです。
 何故そうなるのか。個々に個人差はありますが、誰もが有している本能がそうさせるのです。
 人間には生きていくために「忘れる」「慣れる」「飽きる」という本能を有しています。
 例えば熱烈な恋愛をしている二人が、何かの理由で別れなければいけないことになります。
その悲しみは計り知れない大きなショックで、一時はこのまま死んでしまいたいと嘆き苦しみます。
でもその苦しみは少しのあいだ耐えていれば、必ず時が薄れさせ忘れさせてくれます。
人はどんなに辛くて悲しいことがあっても「慣れて」そのうちに「忘れ」させてくれるから生きていけます。
 その本能が愛にだけは無縁であってほしいのですがそういうわけにはいきません。愛情にも作用してきて、あれほど愛し合って燃えていた二人なのにという人達でも、中には別れてしまう人も出てきます。
愛もまた無常です。

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