2012年11月7日水曜日

エッセイ「人生探訪」楽しみに付いて(その19)

30年も前に読んだ本で田辺聖子さんの「中年ちゃらんぽらん」という本がありました。
もう今は廃版になっているようですが、その本の中で会社の事務をしている準主役のOLが登場します。
今はその本が手元にないので名前を忘れてしまいましたが、仮にくみ子とします。
くみ子は男社会の中では、女性はいくら頑張っても社内で出世することはできないことを弁えています。
そういう社会背景の時代ですから、当人にとっては遣り甲斐のない仕事ですから、食べていくために仕方なく働くという分類の立場の人です。
 一般的には面白くないけど食べるために我慢をして仕事をしている。そういう人は視野の狭い取り組みになりがちですが、くみ子は朝は少し早く出社して掃除をし、みんなの机を支障のない範囲で片付け、皆が出社してくると「お早うございます」と元気よく声を懸けて一人一人にお茶を出してまわります。
現在では差別になるので女子社員にそういうことをさせることはなくなっていますので、この話は少し時代錯誤がありますが、皆が嫌がる雑用でも喜んで前向きにするという人のことです。
 何故そんなに活き活きと喜んで仕事が出来るのか。それは考え方一つ、心の持ち方一つなのです。
自分のような大した能力もない人間を雇ってくれてお給料を下さる。「こんなにありがたいことはない」と感謝する心を持っているか否かなのです。どんなにつまらない仕事でも自分のような者を雇ってくれて「ありがたい」と思う心があれば仕事は喜んで出来、その仕事は永続性のある喜楽に変身していくのです。
 喜んで仕事ができるからいくら働いても疲れないしストレスも溜まらないのです。
疲れが少なく体力と気力に余力ができるから、くみ子は仕事が終わってから自分の好きな習い事をして楽しんでいます。好きでやっている習い事ですから他者よりも上達が速いのです。

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