2012年11月29日木曜日

エッセイ「人生探訪」仕事編No3

高度成長期は本当に良い時代でした。企業は人材育成に力を注ぎ、入社してから勉強をさせてくれました。
養成校の日課は、平日は3時頃まで毎日勉強です。授業が終わると仮の配属職場が決められていましたので、その職場に行って定時の5時まで仕事を手伝います。
土曜日は午前中だけの授業で午後から職場です。一般学生は午後からは授業もないので自由ですが、私たちは5時の定時までは仕事ですから、一般学生とは逆に土曜日は嫌いでした
 3年生の時は工場見学という名目で修学旅行にも連れて行ってくれました。
横浜、東京、日光、鎌倉の5泊6日です。勿論費用は一切不要です。
あっという間の楽しい3年間でした、養成工の3年間が終わり配属が正式に決まりました。
 炉で鉄を熱して冷却して、鉄の組織を用途に相応しい組織にするという仕事場です。鉄は熱する温度と時間とそして冷却する時間によって組織が異なります。組織によって固くなったり柔らかくなったりしますので、用途に応じて炉で組織づくりをするのです。
炉を熱していますので、年中火は消せません。正月も特別手当が付くので希望者を募り炉を熱していました。そんな仕事ですから勤務内容は3交代でした。日曜日は炉の火を絶やさないように、炉の火を熱する者だけが志願で出勤して後は休みです。
明けの月曜日から一勤は朝の6時~午後の2時まで、二勤は午後の2時~9時迄、三勤は午後の9時~朝の6時までというように一週間ごとに交代します。
 若いので遊びたい盛りです。遊ぶには三交代は非常に中途半端なのです。
一勤はいいのですが、二と三勤は相手も勤めがありますので、デイトをしていても時間に限りがあって、まったく会えないのです。そんなことで次第に仕事が嫌で仕方がないようになっていきました。

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