2012年12月8日土曜日

エッセイ「人生探訪」仕事編No10


 テレビ局で時代劇の制作をしますと、大道具や小道具、衣裳、鬘など現在劇よりも制作費が高くなりますので、時代劇は撮影所で制作をしてテレビ局は放映するだけというパターンが定着し、テレビ局での時代劇制作は極端に少なくなりました。
 時代劇の仕事がテレビ局や撮影所で少なくなりましたので、一般事業部の各地のお祭りの仕事によく行きました。
各地でイベントとして大名行列を行うのです。
一番大きな祭りの仕事は名古屋祭りです。家康隊、信長隊、秀吉隊の三隊が名古屋市内を練り歩く大名行列です。私の会社が引き受けていたのは家康隊です。
殿様、局10人、腰元30人武将50人というような規模の仕事です。
それを一人で行って着付けるのです。局、腰元は松坂屋の女子社員が応援で扮装しました。
男子は殿様だけは着付けて、後の武将は自衛隊が応援出演をしていましたので、隊の指揮官を呼んで着付方を教えて自分で着付けをしてもらいます。武将は武者行列で上に鎧を着ますので、着付けは目立ちませんので衣裳だけ渡しておきます。
私が着せるのは女性だけです。行列は昼からですから9時位から着付けを始めます。
 支度部屋に行きますともう松坂屋の女子達は来ています。
その中で私一人が男性です。着替えなければいけません。彼女たちは素人の人たちですので男性に着付てもらうことはおそらく初めてでしょうから、恥ずかしくて躊躇しています。
もたもたしていては行列の時間までに消化できません。恥ずかしがらずに足袋と肌着だけは自分で付けてほしいと頼んでおいて、助手がいませんので、彼女達を一列に並ばせておいて、次に着る人に紐持ちなどの助手をしてもらって着せました。

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