2013年1月5日土曜日

エッセイ「人生探訪」仕事編No34



出張着付に伺いますと沢山の人が各きもの学院のオリジナルの新装小物を持っておられます。
新装小物を持っておられるということは既に着付けのお稽古をされたということを証明しています。その大半は習ったけど着れないという人たちです。
現在大半の人はお洒落としてきものを着るというよりも、通過儀礼のときに着るという人がほとんどです。ですから普段着を何とか着れるようになっても礼装盛装が着れなくては着れたということになりません。そういう意味で申し上げればお稽古に行ったけで大半の人が着れないという人たちです。着れるということはどういうことかという確かな認識が欠乏しています。
 きもの学院は回転よく沢山の生徒が来てくれれば、それだけ小物がたくさん売れますので、技能習得に関しては喧しく提言をしない上に、新装小物を正当化させるために、これを使えば簡単に着れるようになると錯覚させられてしまうのです。
 あるきもの学院では当初の3ケ月は入学金も月謝も無料にしていた所がありました。そこは多くの生徒を集めていました。入学金と月謝を免除しても私共の学院では1万円ちょっとの費用です。1万円ちょっとなら無料にして沢山の生徒を集めた方が小物がセットで沢山売れます。小物と言えどもセットで買うと高額ですから、多く売れれば月謝を免除して利益が増えるという計算です。
なんでそんなかんたんなトリックに引っかかるのでしょうか。
 多くの人は「着付けぐらいその気になれば簡単にできるわ」と侮った気持ちを持ってますので、3ケ月もあれば十分にできる。無料で習えるのなら少々小物を買ってもという人の心理を巧みに利用したうまいやり方です。
でもそういう所はお稽古事の場として結局は長続きしませんでした。

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