2013年1月17日木曜日

エッセイ「人生探訪」仕事編No46



 「離」の段階には指導者だけでなく、事業家として成り立っていかなければいけない経営面の難しさが伴います。
大金持ちの奥様がお金を投じて趣味的に経営するのとは訳が違います。一般人が経営に携わるには資金調達面の難しさと貴重なお金の損失という不安も付いてきます。
そういうあらゆる困難を克服して「やりたい」というご婦人を探すのは本当に困難なのです。給料を払っている人たちでも、経営的責任感を持って働いてくれる人を探すのは困難なのに、給料も払わないで前向きに取り組んでくれる人を探すのはそれ以上大変なのです。
そんな状況で折角育てた弟子を辞めさせるのはどんなに切なくで、辛いことか分かるでしょうか。
 その辞めて行く弟子には、既に大阪に月に一度来て本校でお稽古をする上級の弟子が7人いました。
私にとっては孫弟子になるのですが、先生が辞めて行くときには孫弟子も連れて辞めて行くのが通常です。それは当たり前のことですから仕方がありません。
その孫弟子の中に、お稽古が終わってから先生と人生論について語っていますと、そういう堅苦しい話は嫌いという人が多くて、さっさと帰って行ってしまう人がほとんどなのに、一人だけ何時も傍で聞いている孫弟子がいました。
それも目を輝かせて聞いているのです。
その孫弟子を見ていてこの人は教えればきっとものになるなという予感がありました。

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