2013年1月19日土曜日

エッセイ「人生探訪」仕事編No48


 職人で一番大切なのは心なのです。心の問題を真面目に話のできない人は、何をやってもものになりません。その点からいえばその孫弟子が人生論を真面目に聞き入っていますので、この人はものになるだろうと思っていました。
弟子が辞めて行く時に「一つだけ頼みがある」と言いました。
「君が辞めて行けば、君の弟子は当然君に付いて辞めて行くだろうけど、あの孫弟子だけは連れて行かないで置き土産に残して行ってくれないか」と言いました。
そうすると快くそう伝えるといってくれました。
そしてその孫弟子も残りたいということでしたから、これで少しは希望が湧いてきてやる気が喚起してきました。
因みに辞めて行った弟子は今では京都方面で学院を興し立派にやっています。
俄然やる気がわいてきました。学院は開校して5年目からあの淡路阪神大震災の年も欠かさず年に一度劇場を借りて発表会を行ってきました。
その発表会ではその弟子と妻との間に確執が出来ないように気を配りながらも、重要な役割は妻よりも孫弟子にさせて育成することに専念しました。
女性相手のお稽古事ですから男の私が自分で着物を着て見せるということはできません。それが出来るなら人に頼まずに全て自分で仕切ってやるのですが、自分で着る分野は任せなければ仕方がないから私の意向を汲んでやってくれる右腕となる人が必要なのです。
それが妻であれば理想なのですが、妻は全くその気がないのです。

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