2013年1月27日日曜日

エッセイ「人生探訪」仕事編No56

                                          宝山寺

 甲子園と芦屋方面で出教室を持ちながら出張着付を本格化しました。
各家庭に出向いて着付を行うのです。当初は美容室の着付料の半額以下の2000円で行いました。
当時着付はまだ美容界の仕事という概念があって、美容室に対抗してお客を呼ぶには、安くする以外にないと考えたからです。
こんなに安ければ「一度騙されたと思って頼んでみようという」というお客様が絶対に出てくると計算したからです。
一度着付をさせて頂ければ芸能界で鍛えた着付の技は絶対に伝わりリピターになってくれるという自信があったからです。
こちらの思惑通りにお客様が急増しました。日銭が入ってきますので大変助かりました。
 出張着付があったために日曜、祝日、土曜日は忙しくて旅行などもしたことがありません。
私はいまだに海外旅行をしたことがないのです。仕事を断わって旅行に行く気にはならなかったからです。
 孫弟子もよく頑張ってくれました。大阪を出て彼女とコンビを組んで仕事を始める時に、彼女には家庭があってご主人もおられますので、男と女の関係で私が彼女を都合よく使っているように、彼女の家族に思われるのが嫌ですから、五分五分の共同経営の形をとりました。彼女も頑張れば頑張るほど報われる自分の事業ですから本当によく頑張りました。辛かったしんどかったですが、理念を共有している同志ですから苦しみは全て楽しみに変わり充実した日々が送れました。仕事をしていることが楽しかったのです。

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