2013年2月18日月曜日

山田洋次監督作品「東京家族」

2012年5月の東京を舞台に、橋爪と吉行演じる老夫婦が、成長した子どもと会うため瀬戸内海の小島から上京する姿を通して、家族の絆や老い・死についてメッセージを投げかける作品です。
 家族とは居住を共にすることによってひとつのまとまりを形成した親族集団のこと、あるいは産み、産まれるというかかわりの中から生じた親と子という絆、そうしたものによって繋がっている血縁集団を基礎とした小規模な共同体が家族であると定義されています。
 世の中には家族と言われるつながりのある人はほんの少数しか存在しません。
その少数共同体が一つとなって励まし合い、支え合える状態が作れればその家は繁栄するでしょうし、また心豊かに暮らせる確率は高くなるのですが、現在はその家族が崩壊しています。
 子供たちが独立して核を形成すれば、その核を維持し繁栄させることに忙殺され、それまでに自分を育んでくれた家族のことは気にしながらも実質的には何もして上げれない。それが特に都会に住んでいる家族の形態です。気にする気持ちがあるとすれば良い方で全く気にかけていない人も少なくありません。
 折角親が田舎から来ているのにたらい回しの状態で満足に接待もしてやれない。自分の核には嫁や婿や子供という存在があり、自分の親に対してもその人たちの気持ちを優先して気遣いをしなければいけない。
 親は東京で友達と会って。酒をくみ交わしながら「どげかしなければいけない」と盛んに叫ぶシーンがあります。これでいいのかという山田洋次監督のメッセージでしょう。
 お金に振り回される生活から脱しなければ心豊かに暮らせませんが、人間には欲がありますので、それは無理でしょうね。
欲を募らせながら、その欲に押し潰されて、精神的に貧弱になって
いるのが都会人の生活ですね。


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