2013年9月10日火曜日

楽しみの検証-1

数学博士の広中平祐先生は以前に「身の回りの事柄に付いて哲学的に理解すれば視野が開ける」とおっしゃっておられました。
私もきもの学院を開校して生徒の皆さに、身の回りの身近な事柄に付いて語りかけていた時期でしたから、大変に共感と感動を覚えたことを思い出します。
 例えば着付のお稽古ですが、お稽古に来られる多くの人は上手に着れるようになりたいと希望されています。着付に対しては「着付ぐらい」と侮りの気持ちを持っている方は多くいます。ところが着付も上手の域に達するには難しいのです。その難しさを乗り越えるには、苦労が伴います。
侮りを持っているということは、着付ぐらい「その気になれば簡単に着れるようになるわぁー」と思っているということになります。ところが実際にお稽古を始めますと意外と難しいので、上手の域に達することは難しいことが初めて理解出来るようになります。
難しいことが実感出来れば、これまでの考えを改めなければいけません。。
ところが着付が出来なくても生活に何の支障もないし、なんとか「着れるようになったからこれでいいわ」と考えて辞めて行きます。
 技能は頭で覚えるものではなく「体で覚える」ものです。上手に着れるまでに達していれば体に染みついていますので簡単にわすれないのですが、そこまでに達していなければ、直ぐに忘れてしまいます。お稽古に行ったけれどもやっぱり着れないという人が多いのはそういうことなのです。
 それは何のために着付が出来るようになりたいのかという哲学的検証が出来ていないことが一因です。

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